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現存自動車メーカー:日本編|全ブランド完全カタログ

はじめに

世界第3位の自動車生産国¹である日本には、現在も事業を継続している自動車メーカーが数多く存在しています。しかし、「日本の自動車メーカーって結局何社あるの?」と聞かれて、正確に答えられる人は意外と少ないのではないでしょうか。

トヨタ、日産、ホンダという「ビッグ3」は誰もが知っていますが、実際の業界構造はもっと複雑です。完全子会社、資本提携、海外ブランド、そして個性的な中小メーカーまで含めると、その全体像を把握するのは決して簡単ではありません。

本記事では、2024年現在も営業を続けている日本の自動車メーカーを完全網羅し、各社の位置づけや特徴を整理してお伝えします。企業グループの複雑な関係性も含めて、日本の自動車業界の「現在の勢力図」を明確にしていきましょう。

単なる企業名の羅列ではなく、それぞれのメーカーがどんな車を作り、どこで売られ、どんな特色があるのかまで踏み込んで解説します。これを読めば、日本の自動車業界の全体像がスッキリと見えてくるはずです。

本編

🏭 トヨタグループ(日本最大の自動車企業群)

日本の自動車業界を語る上で避けて通れないのが、トヨタ自動車を中核とする企業群です。ただし「トヨタグループ」の範囲については、正確な理解が必要です。

📊 トヨタグループ構成表

分類企業名設立年主力商品資本関係
本体トヨタ自動車1937年²乗用車・商用車全般-
ブランドレクサス1989年³高級乗用車トヨタのブランド
完全子会社ダイハツ工業1907年⁴軽自動車・コンパクトカー100%出資
完全子会社日野自動車1942年⁵大型トラック・バス100%出資
関連会社SUBARU1953年⁶乗用車(4WD特化)20%出資⁷

トヨタ自動車の圧倒的存在感
1937年に豊田自動織機の自動車部門として独立したトヨタ自動車は、現在世界販売台数4年連続1位⁸を誇る巨大企業です。カローラ、プリウス、ランドクルーザーなど世界的ベストセラーを多数抱え、ハイブリッド技術では他社の追随を許さない技術力を持っています。

レクサス:日本発の世界的高級ブランド
1989年に北米市場で産声を上げたレクサスは、メルセデス・ベンツやBMWと肩を並べる高級ブランドとして確固たる地位を築きました。日本国内では2005年から展開⁹しており、LSセダンやRXクロスオーバーなどで富裕層の支持を獲得しています。

ダイハツ:軽自動車のスペシャリスト
1907年創業の老舗メーカーであるダイハツは、1998年にトヨタの完全子会社となりました¹⁰。タント、ミラ、ムーヴなどの軽自動車で国内市場の約3割¹¹を占め、東南アジア市場でも小型車を展開しています。

日野:商用車のトップランナー
国内大型トラック市場で約5割のシェア¹²を持つ日野自動車は、1942年の設立以来、商用車専業メーカーとして発展してきました。路線バス、観光バス分野でも高い技術力を誇り、環境対応車両の開発にも積極的です。

SUBARU:独自技術への強いこだわり
興味深いのがSUBARUの位置づけです。トヨタが筆頭株主でありながら、水平対向エンジンと四輪駆動技術という独自路線を貫いています。レヴォーグ、フォレスター、インプレッサなど、他社にはない個性的な車づくりで熱狂的ファンを獲得しています。

🚀 ホンダ(完全独立系の技術志向メーカー)

本田技研工業(1948年設立¹³)は、日本の自動車メーカーの中で最も「独立独歩」を貫いている企業です。創業者・本田宗一郎の「技術の本田」という理念は今も生き続けています。

📊 ホンダ事業構成表

分類名称展開地域主力商品特徴
本体ホンダ全世界乗用車全般エンジン技術重視
海外ブランドアキュラ北米・中国高級乗用車1986年開始¹⁴

二輪車から四輪車への発展
ホンダの最大の特徴は、バイクメーカーとしてスタートし、その技術を自動車に応用したことです。現在でも世界のバイク市場で約3割のシェア¹⁵を持ち、この分野で培った軽量化技術や燃費技術が自動車開発にも活かされています。

VTEC技術の革新性
1989年に実用化されたVTEC(可変バルブタイミング・リフト機構)¹⁶は、ホンダの代名詞ともいえる技術です。高回転でのパワーと低回転での燃費を両立させるこの技術は、その後多くのメーカーが類似技術を開発するきっかけとなりました。

アキュラ:北米専用高級ブランド
1986年に北米で立ち上げたアキュラは、レクサス、インフィニティに先駆けた日系高級ブランドの先駆者です。NSXスーパーカーやTLセダンなど、技術志向の高級車で一定の地位を築いています。

🌍 日産アライアンス(国際連合の複雑な構造)

日産自動車(1933年設立¹⁷)を中心とするアライアンス構造は、日本の自動車業界で最も複雑な関係性を持っています。

📊 日産アライアンス構成表

企業名国籍設立年出資関係主な役割
日産自動車日本1933年ルノーと相互15%出資¹⁸アライアンス中核
ルノーフランス1899年日産と相互15%出資欧州市場主力
三菱自動車日本1970年¹⁹日産が34%出資²⁰東南アジア・SUV特化

ブランド展開の多様性
日産は本体ブランドに加えて、1989年に立ち上げた高級車ブランド「インフィニティ」²¹を北米・中国・中東で展開しています。ただし日本市場での展開(2013-2016年)は撤退²²しており、ブランド戦略の難しさを物語っています。

電気自動車のパイオニア
日産は2010年に世界初の量産電気自動車「リーフ」を発売²³し、EV分野でのパイオニア的地位を確立しました。累計販売台数は50万台²⁴を超え、電動化技術では他社をリードしています。

三菱自動車の復活
燃費不正問題²⁵で経営危機に陥った三菱自動車は、2016年に日産の傘下入りすることで事業を継続しました。アウトランダー、エクリプスクロスなどのSUVと、東南アジア市場でのピックアップトラックが主力商品です。

🔧 独立系メーカー(トヨタとの資本提携組)

大手グループに完全には属さないものの、トヨタと資本提携を結んでいるメーカーがあります。

📊 トヨタ資本提携メーカー表

メーカー名設立年トヨタとの関係主力商品独自技術
マツダ1920年²⁶5.05%出資²⁷乗用車全般SKYACTIV、ロータリー
スズキ1909年²⁸4.94%出資²⁹軽自動車・小型車インド市場特化

マツダ:技術へのこだわり
1920年創業のマツダは、世界で唯一ロータリーエンジンの実用化に成功したメーカーです。現在は「SKYACTIV技術」³⁰により内燃機関の徹底的な効率化を追求し、「人馬一体」をコンセプトとした走行性能重視の車づくりを続けています。

スズキ:軽と新興国のスペシャリスト
スズキの最大の特徴は、軽自動車(国内シェア約3割³¹)とインド市場(シェア約5割³²)での圧倒的な強さです。ワゴンR、アルト、ジムニーなど個性的な軽自動車と、マルチ・スズキブランドでのインド展開で独自の地位を築いています。

🚛 商用車専業メーカー

乗用車から撤退し、商用車に特化することで生き残りを図っているメーカーもあります。

📊 商用車専業メーカー表

メーカー名設立年資本関係主力商品特徴
いすゞ自動車1916年³³トヨタと資本提携³⁴中大型トラックディーゼル技術
UDトラックス2007年³⁵いすゞ傘下大型トラック旧日産ディーゼル
三菱ふそう1932年³⁶ダイムラートラック傘下³⁷大型トラック・バス欧州技術導入

いすゞ:ディーゼルエンジンの雄
1993年に乗用車事業から撤退³⁸したいすゞ自動車は、ディーゼルエンジンと商用車に特化することで独自のポジションを確立しました。エルフ、フォワード、ギガなど幅広いトラック製品を展開しています。

🏎️ 小規模独立系メーカー

大手とは全く異なるアプローチで、ニッチな市場を開拓しているメーカーもあります。

📊 小規模メーカー一覧表

メーカー名設立年年間生産台数特徴主力商品
光岡自動車1968年³⁹約400台⁴⁰レトロ風カスタムビュート、ロックスター
GLM2010年⁴¹約50台EVスポーツカートミーカイラZZ
アスパーク2005年⁴²約10台超高性能EVOWL

光岡自動車:職人の手作り
富山県を拠点とする光岡自動車は、既存の量産車をベースとしたカスタマイズカーで独自の世界を作り上げています。クラシカルなデザインと手作業による丁寧な仕上げで、コアなファン層に支えられています。

GLM:京都発のEVベンチャー
旧トミーカイラから発展したGLMは、3Dプリンター技術を活用したEVスポーツカーの製造で注目を集めています。従来の自動車製造とは異なるアプローチで、少量生産ながら高い技術力を誇っています。

⚙️ 日本自動車メーカー発展年表

  • 1907年:ダイハツ工業創業
  • 1909年:スズキ(鈴木織機)創業
  • 1916年:いすゞ自動車創業(東京石川島造船所自動車部として)
  • 1920年:マツダ創業(東洋コルク工業として)
  • 1933年:日産自動車設立
  • 1937年:トヨタ自動車工業設立
  • 1942年:日野自動車設立
  • 1948年:本田技研工業設立
  • 1953年:富士重工業設立(現SUBARU)
  • 1968年:光岡自動車創業
  • 1970年:三菱自動車工業設立

まとめ

日本の現存自動車メーカーを整理すると、その多様性と複雑さに驚かされます。トヨタを頂点とする巨大グループから、完全独立を貫くホンダ、国際アライアンスを組む日産、そして個性的な中小メーカーまで、それぞれが異なる戦略で生存しています。

特筆すべきは、単純な統合・合併ではなく、資本提携や技術協力といった「緩やかな結びつき」を選択している企業が多いことです。これにより各社の個性や技術的特色が維持され、消費者にとって豊富な選択肢が提供されています。

電気自動車、自動運転、カーボンニュートラルといった業界変革の波の中で、これらのメーカーがどのような進化を遂げるかは、日本の産業競争力を左右する重要な要素となるでしょう。大手の技術力、中堅の機動力、小規模の創造力がうまく組み合わさることで、日本の自動車産業は今後も世界をリードしていくことが期待されます。

FAQ

Q1: 現在の日本の自動車メーカーは全部で何社ありますか?
A: 主要なメーカーでは、トヨタ系列5社、ホンダ1社、日産アライアンス3社、独立系2社、商用車専業3社、小規模独立系3社の計17社が活動しています。ただし、資本関係や事業形態によって数え方が変わるため、明確な「社数」を定義するのは困難です。

Q2: トヨタグループに正式に含まれるのはどの会社ですか?
A: 完全子会社として確実にグループに含まれるのは、ダイハツ工業(100%出資)と日野自動車(100%出資)です。SUBARUは20%出資の関連会社、マツダとスズキは資本提携先であり、正式なグループ企業ではありません。

Q3: 日産とルノーの現在の関係はどうなっていますか?
A: 2023年に従来の親子関係を解消し、両社が相互に15%ずつ出資する対等なパートナーシップに変更されました。ルノーの日産に対する支配的地位は解消され、戦略的提携関係となっています。

Q4: 日本で軽自動車を作っているメーカーはどこですか?
A: 現在軽自動車を生産しているのは、ダイハツ(トヨタ系列)、スズキ三菱自動車(日産系列)、ホンダの4社です。マツダも販売していますが、これはスズキからのOEM供給です。

Q5: 小規模メーカーが大手に対抗できる理由は何ですか?
A: 光岡自動車やGLMなどの小規模メーカーは、大手が参入しない超ニッチ市場に特化し、手作業による高付加価値製品を提供しています。また、既存の量産車をベースとすることで開発コストを抑えつつ、独特のデザインやカスタマイズで差別化を図っている点が成功要因です。

参考文献

  1. 一般社団法人日本自動車工業会「2023年世界自動車統計」
  2. トヨタ自動車株式会社「会社概要・沿革」
  3. レクサスインターナショナル「ブランドヒストリー」
  4. ダイハツ工業株式会社「会社沿革」
  5. 日野自動車株式会社「企業情報・沿革」
  6. 株式会社SUBARU「企業情報」
  7. 株式会社SUBARU「2023年度有価証券報告書」
  8. トヨタ自動車株式会社「2023年度世界販売実績」
  9. レクサス・ジャパン「レクサス日本導入の歩み」
  10. ダイハツ工業株式会社「企業統合の歩み」
  11. 全国軽自動車協会連合会「2023年軽自動車販売実績」
  12. 日本トラック協会「商用車市場統計2023」
  13. 本田技研工業株式会社「企業情報・沿革」
  14. Acura「Brand History」
  15. 日本自動車工業会「二輪車市場統計2023」
  16. Honda「VTEC技術解説資料」
  17. 日産自動車株式会社「企業情報・沿革」
  18. 日産自動車株式会社「2023年度有価証券報告書」
  19. 三菱自動車工業株式会社「企業沿革」
  20. 三菱自動車工業株式会社「2023年度有価証券報告書」
  21. Infiniti「Brand Development History」
  22. 日産自動車株式会社「インフィニティ日本展開終了発表資料」
  23. 日産自動車株式会社「日産リーフ開発史」
  24. 日産自動車株式会社「EV販売実績2023」
  25. 国土交通省「三菱自動車燃費不正問題調査報告書」
  26. マツダ株式会社「企業情報・沿革」
  27. マツダ株式会社・トヨタ自動車株式会社「資本業務提携契約書」
  28. スズキ株式会社「企業情報・沿革」
  29. スズキ株式会社・トヨタ自動車株式会社「資本業務提携発表資料」
  30. マツダ株式会社「SKYACTIV技術解説書」
  31. 全国軽自動車協会連合会「メーカー別販売実績2023」
  32. Maruti Suzuki India Limited「Annual Report 2023」
  33. いすゞ自動車株式会社「企業情報・沿革」
  34. いすゞ自動車株式会社・トヨタ自動車株式会社「資本業務提携発表」
  35. UDトラックス株式会社「企業情報」
  36. 三菱ふそうトラック・バス株式会社「企業沿革」
  37. Daimler Truck Holding AG「Annual Report 2023」
  38. いすゞ自動車株式会社「乗用車事業終了発表資料」
  39. 光岡自動車株式会社「企業情報・沿革」
  40. 光岡自動車株式会社「生産実績データ」
  41. GLM株式会社「企業情報」
  42. 株式会社アスパーク「企業情報」

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