1. 🛠 少年ウィリアム──機械と遊んだ日々

1754年、スコットランドのエアシャー地方。
石炭と鉄鉱の町オールド・カムノック近郊に、ウィリアム・マードック(William Murdoch, 1754–1839)は生まれました。
父は水車職人で製粉業者。家には常に工具や木材があり、少年マードックは自らの手で小さな模型や装置をつくって遊んでいました🔧。

幼い彼はまだ知らなかったのです。
その手が、世界最初の自動車を動かすことになるとは──✨
2. 🚉 運命を変えた出会い──ジェームズ・ワットと蒸気の世界
1777年、23歳のウィリアムは、夢を追って南へ向かいます。
目指したのはバーミンガム──産業革命の中心地⚙️。
そこで彼は、当時すでに蒸気機関の改良で有名だったジェームズ・ワットと出会います。
この出会いは偶然ではなく、運命だったのかもしれません🔄。
ワットはすぐにマードックの才能に目を留め、彼を自らの会社に迎え入れます。
3. 🔍 裏方の天才──影に隠された数々の発明
- 🔩 ピストンの動きを回転運動に変える「太陽と惑星のギア」
- 🚪 蒸気を効率よく制御する「D型滑弁」
- 💡 石炭からガスを取り出す「ガス照明」

どれも画期的な発明でしたが、特許の多くは上司ワットの名義で出願されました😔。
4. 🚙 ひそかな挑戦──蒸気車に込めた夢
1784年頃。マードックはコーンウォールで、密かに「動く車」の開発に挑みます。
小さな3輪の蒸気車を組み立て、教会までの夜道を走らせたと言われています🌙。
それはまさに、“夢が道を走った瞬間”でした✨🚗💨。
5. ⛔ 絶たれた未来──ワットの命令
上司ワットはこの挑戦にストップをかけました。
「危険すぎる」「本業に悪影響が出る」などの理由で、マードックは開発を中止せざるを得ませんでした⚠️。
6. 🌈 それでも、彼は走り続けた
その後もマードックはガス照明や船舶用エンジンの改良など、静かに技術の世界を支え続けました。
晩年は穏やかに故郷で過ごし、その名は一度忘れられていきました🍂。
7. 🧭 マードックの物語が教えてくれること
組織の壁や時代の制約に縛られながらも、最初の自動車を夢見て実際に走らせた男──それがマードックでした。
名もなき町の夜道で、世界初の“自走”が静かに始まっていたのです🚦。
📌 マードックは、クルマの歴史に名を刻んだ“最初の挑戦者”である。
忘れ去られていたとしても──彼の夢は、確かに走っていたのだから。
👉 この人物が登場する時代の歴史はこちら → 第2回|1780〜1810年代の自動車史:蒸気車最後の輝きと、始まりのエンジン蒸気自動車の夜明け|マードックとトレビシックの挑戦